ロンドンのファブラボから

昨年、ファブラボ・ベータ・馬車道や、ファブラボ渋谷に通っていたFABフレンドが、現在ロンドンに留学中です。ロンドンでは、学業の傍ら、ファブラボインターンとして活動しているようです。そんな彼女から、近況報告が届きました!お楽しみください。

 こんにちは。今、ロンドン芸術大学に通っている山本眞悠子です。もう五月なのでロンドンも段々気候も暖かくなって来ていて、晴れの日が多くなって来ていますが、まだ少し肌寒いです。

 そんな気候の変化が多いロンドンにも、バンクと言う地域に3年前にファブラボが出来上がりました。(FabLabLondon:http://www.fablablondon.org)ロンドンのファブラボは一言で言うと、”テクノロジーのオタクの集まり”です。人数は全員合わせて10人位で、1人1人違う分野の”オタク”です。1人はロボットを作る事に夢中で、いつもロボットを片手にしています。1人は3Dプリンターに夢中で、いつも関連する研究をしています。1人はプログラミングに夢中で、常にパソコンでコードを打ち込んでいます。テクノロジーだけではなくボードゲームを作っている人もいます。こういった人達が1箇所に集まると、面白い事に、みんな1人1人アイディアや知識をシェアしながら1つのプロジェクトが進められていきます。

 例えば、ロボットに詳しい人とプログラミングに詳しい人達が組むと、ロボットを2人で作りそこからビジネスが始まります。1人はロボットの組み立てる方に技術があり、もう1人はプログラミングに詳しい人です。こういう風にバランスが取れると、2人でロボットを作りビジネスに繋がるのです。彼らのプロジェクトは、1つのロボットをデザインし、それをインターネット上で人々と共有し、みんながカスタマイズできるようにすると言うプロジェクトです。

何故こんなプロジェクトを始めようかと思ったのか気になったので、2人に聞いてみました。

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(Left: Joshua Elijah | Right: Jack Reeve)

「ロボットに興味はあるけれど難しそう、というイメージを少しでも壊したい」

これが彼らのゴールでした。ここ、ロンドンではエンジニアと言う職業は得に女性には人気がなく、ただ難しそうと言う理由だけで、ほとんどの人が諦めてしまうそうです。確かに、ソフトウエアにあまり詳しくない人からしてみると3Dプリンターのようなマシンを使うのは難しいと言う印象で、始める前に諦めてしまいがちです。そんな人々に、彼らはロボットの試作品を作り、カスタマイズを簡単にオンラインでできるようにし、ロボットの良さ、プログラミングの楽しさをもっと知って貰おうと思い、このプロジェクトを始めたようです。大人はもちろん多くの子供達にも、このロボットやプログラミングの楽しさを伝えたいと、とても熱く語ってくれました。こういった、素晴らしいパッションをもとに2人は毎日アイディアを練っています。

 ファブラボロンドンは、日々賑やかです。時には子供達が3Dプリンターやレーザーカッターを学んでいたり、時には一般向けに開かれたワークショップでラボは人があふれかえっています。色々なワークショップが開かれている中、私が特に興味を持ったのは、スマートフォン用のアプリを子供達がデザインすると言うワークショップです。「スマートフォンアプリをデザインする」と聞くと凄く難しそうに感じますが、子供たち皆んな笑みを浮かべながらとても楽しそうにパソコンに向かいながらワークショップが進んできます。こういった光景を見ていると技術が発展している中、3Dプリンターやレーザーカッターを使ったものづくりを学べる環境が必要なんだなと改めて実感します。

 もうひとつワークショップで気になったのが、ある男の子が自分専用のゲーム機をカスタマイズデザインするというものでした。これはあらかじめ、先ほど紹介した、ロボットとプログラミングに詳しい彼らが、1から手順を考え、それを男の子と一緒に実製作するというワークショップです。もちろん、とても難しい高度な技が必要なところは、彼らが代わりに製作するのですが、それ以外の部分は男の子が1人でつくります。ゲーム機をカスタマイズできるなんて子供の夢も膨らむばかりですよね。こういった様々なワークショップが、ファブラボロンドンでは展開されています。

 プログラミングやロボットの他に、ボードゲームをデザインしている2人組がいます。彼ら達は、誰でも分かるボードゲームをデザインしています。ボードゲームと言えば、数え切れない程の種類があります。例えば、オセロだったり人生ゲームだったり様々の遊び方ができるボードゲームがあります。しかし、中にはルールが複雑すぎて理解するのが難しい物もあり、楽しめない人も出てきてしまいます。そんな中、2人が提案したのは、「誰でも分かるボードゲームを作ろう、そして見た目もスタイリッシュに仕上げよう」という事です。Kickstarterと言うウェブサイトでアイディアを提案し、資金が集まりしだい、実際に作るという企画です。彼ら達は去年から頑張っているみたいで、やっと資金が目標に達成し、今現在、ファブラボロンドンでレーザーカッターを使って大量生産しています。( Pegged In | Customisable Board Game

他にも、レーザーカッターを使ったアクセサリーのワークショップも繰り広げられていて、4月に行われたMystic FormというアクセサリーブランドでアーティストのAkiko Banさんのワークショップに参加をしてきました。(その様子はこちら

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レーザーカッターでプラスチックを切り好きな色のパーツを選んでアクセサリーを作るというワークショップでした。レーザーカッターに詳しくない方でもレーザーカッターはどんなものかを体験もできるワークショップでした。皆んなパーツ選びに夢中で作っていました。

こういった様々なプロジェクトがロンドンファブラボでは日々繰り広げられています。私も最近やっとレーザーカッターの使い方を覚えたところで、レーザーカッターの楽しさがわかりました。これからもっとレーザーカッターや3Dプリンターを使って色々なものを作って行きたいと思います。

最後に、私が最近つくったものも載せます。

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3ミリの気の板を三角形にレーザーカッターで切ってジャンプリングで繋げています。形はもともと自分でデザインしたネックレスを元にしています。

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つけるとこんな感じです。フラットでしかも軽いので付けやすいかなと思います。

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300gの紙をレーザーカッターで切り同じ形を何枚も重ねています。

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何枚もの同じ形を重ねると奥行きが出て楽しいかなと思います。違った色を挟めばパンチが効いてオリジナル感も出て、しかも紙なので軽いです。

山本眞悠子
https://mayuko-yamamoto.squarespace.com/

2016-06-09 | Posted in blog, ReportNo Comments » 

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