ロンドンのファブラボから vol.2

先日の「ロンドンのファブラボから」に引き続き、ロンドンにいる眞悠子さんから便りが届きました!
ロンドンのファブラボの日常が見えてきます。お楽しみ下さい。

前回:http://www.fablabshibuya.org/archives/4494

こんにちは。少し間があいてしまいましたが、あれからファブラボロンドンでの出来事をお伝えしたいなと思います。

あれからファブラボロンドンは新しいインターン生が数人加わり今日もファブラボロンドンは賑やかです。その新インターン生の一人であるRubyさんが何を作っていたのか聞いてみました。001 002
Designed by Ruby Child

Rubyさんは以前ロンドン芸術大学のセントラルセントマーチンズでテキスタイルを学んでいたようで、デジタルのパターンからインスピレーションを受け、レーザーカッターを使ってパズルを作っていました。しかし、Rubyさんは途中で路線変更をして数学を学ぶと決め、今では3Dプリンターを直したりプログラミングをするエンジニアです。
完成した模様が可愛いパターンになるなんて、インスターレーションにもなるし、これから完成に向けてどんな模様になるか楽しみですよね。この木のパズルに色んな色を加えたらきっともっとワクワクするパズルが出来上がる気がします。Rubyさんの木のパズルの完成が楽しみです。

ファブラボロンドンではいつも誰かが3Dプリンターやレーザーカッターを使ってものづくりをしています。インターン生はもちろん、オンラインで予約して来るアーティストさん達や、ファブラボのスタッフさん達が毎日何かをつくっています。そんなラボは、作品があふれかえっています。そんな様子を、少しだけ紹介したいなと思います。

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(ファブラボロンドンの入り口)

まずファブラボに入ったら真っ先にこのでっかいスクリーンと、その上にあるここで作られた作品達に迎えられます。入った瞬間から、ものづくりへのパッションが伝わって来ます。

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(皆がつくったもの)

そしてもう少し中へと進むとソファーがあり、面接や時にはお昼ご飯を食べる場所として使われます。そんな場所にも、これまでのスタッフさんやインターン生が制作した作品が溢れかえっています。すべての作品を一枚の写真におさめる事が出来なかったので、ごく一部を撮影して来ました。写真に写っている「雲と虹」はHannahさんが、ファブラボに就職した日に、記念にと3Dプリンターでつくっていました。
特に雲のモクモクがよく再現されていますよね。

そんなHannahさんが、今日も3Dプリンターで何かをプリントしていました。

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Hannah Cameron

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一目じゃ何か分からなかった私は、Hannahさんに何をプリントしているのか聞いたところ「デジタルサンダイアル」と言う、日光の光が当たる角度で時間が分かっちゃう優れものアイテムをプリントアウトしていたようです。
以前ファブラボロンドンで教えて貰った Thingiverseで調べてみました。Thingiverseとは、3Dデータを全世界の3Dプリント愛好家と共有(アップロード、ダウンロード)できる、とても便利なウェブサイトの事です。
そんなとても便利なサイトでHannahさんがプリントしていた物を調べてみました。調べた結果 Digital Sundial が出て来ました。
リンク先で紹介されている画像のように、日光が当たる角度で今の時間が分かっちゃう時計です。電池もモーターも必要としないので、電池の交換の必要も無い、まさに省エネにぴったりな優れ品です。こんな便利な時計なら、震災が多い日本でもいざ時間を調べたいと言う時にこんな助けになるのではと思いました。もちろん日用品として時計は欠かせない物なので、お部屋にこのデジタルサンダイアル時計を置いてみるのも、良いかもしれませんね。

このように、Hannahさんみたいに面白そうな物をThingiverse でダウンロードし、3Dプリンターでプリントをして、実際に見てみるという工程がどれだけ便利で、しかも早く人々に伝わるかを実感しています。

3Dプリンターが早く一家に一台と言う時代になれば、どこでもプリントしたモノが手に入り、その場で直ぐに試す事ができます。日常の暮らしがより便利で楽しくなるのは間違いなしですね。自然災害が多い日本でも必要なものをインターネットとコンセントの二つで物作りを開始する事が出来ちゃうのです。このように3Dプリンターの活用手段によってその場の状況が便利になるのだと感じました。

ここで少しHannahさんの事について紹介したいなと思います。
Hannahさんは去年の10月頃にファブラボロンドンでインターン生として加わりました。Hannahさんはファブラボに来る前に3年間中国に住んでいて、そこでもテクノロジー系のコミュニティーで活躍していたそうです。なので彼女は少し中国語を話せちゃう優秀な人なのです。Hannahさんはファブラボロンドンのチームの中で、デザイナーとして活躍しています。例えば、ラボの中のサインを少し遊びごろを込めたサインにしてみたり、3Dプリンターを使って立体的なロゴや看板を作ってみたりと、日々ファブラボの中を明るくしています。そんなクリエイティブなHannahさんはフリーランサーとしても活躍しているのです。そんな多忙な彼女は日々明るい笑顔で頑張っています。

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Designed by Hannah Cameron

これはHannahさんがビニールカッター (Vinyle Cutter) で作った一つのサインです。消化器をガスボンベと見立ててデザインをしたようです。文字よりもイラストを通してのコミュニケーションだと、遊び心があり楽しく感じます。

ファブラボロンドンは、個性を持った人たちが集まります。その個々の個性が作品を通して生かされているのを日々感じています。ラボに毎回行くと一人一人がいつも熱心に一つの事に夢中になっています。私も皆さんに負けないようにと、日々、次のデザインを練っています。そんな私がパソコンで作業をしているとたまに、私の肩をトントンと叩いて来る人がいます。前回のブログの記事で紹介させていただいたエンジニアのJoshuaです。

何かなと思いながら振り向くと「見て見て、これ凄くない?」と、彼の指先で氷みたいなキューブが光っていました。彼が「これは水分に反応するセンサーが付いているキューブなんだ」と説明してくれました。彼はある会社から水が入っているコップの中に入れられてしかも光る氷みたいなキューブを作って欲しいと頼まれたそうでその試作品を見せてくれたのです。色は変わるのはもちろん、「コップの中が空になったら何か変化が欲しい」と言う会社からの要望に応える為、水分が減る事によって光る強さが弱くなると言う仕組みにしたそうです。
テクノロジーにあまり詳しくない私にとっては「凄い!」の一言でした。

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Designed by Joshua Elijah

私があまりにも驚いたせいか、「あげるよ!」とプレゼントしてもらっちゃいました。今は私の部屋に飾ってあります。

ファブラボロンドンでは皆、違うプロジェクトを日々進めています。中にはクライアントのプロジェクトだったり、クラウドファンディングのKickStarterのプロジェクトだったり、さまざまです。そんな中、私もプロジェクトをやりたいなと思い、一緒の時期にインターン生として入ったもう一人の子と一緒に、KickStarter にチャレンジする事にしました。彼女からこのプロジェクトのお誘いを受け、私のアクセサリーについてのプロジェクトをしたいと言う事で、私がデザインをした「アクセサリー+アクセサリースタンド」を製作する事になりました。そのアクセサリースタンドの最初の試作品を少し載せたいと思います。

最初に浮かんだアイディアは、私がデザインをしたイヤリングの形を基にアクセサリースタンドをデザインする事でした。これはイヤリングのデザインと同じ仕組みで紙を何枚も重ねて作りました。全てレーザーカッターを使用していて、カットした後に、一枚一枚で糊付けをしています。試作品だったのでサイズはA5サイズにしました。

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一つ一つの柄が取り外しができる仕組みになっています。取った模様でパズルか何かできないかなと思い、模索中です。紙なのにこんな細かい模様を正確に、そして早く切れるのは、このレーザーカッターの Trotec Speedy 360 のお陰だなと、毎回実感します。

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二つ目の試作品は木と紙で作ってみました。デザインはそのままなのですが、マテリアルを木に替えた事で実用性が少し出ました。私は色をデザインに取り入れる事が好きなので木と木の間に色紙を挟んでいます。この試作品も一つ一つの柄が取れるようになっています。このアイディアは、模様がイヤリングのデザインを基にしているので、実際に身につけられるイヤリングが二つはまっていて、取って付ける事もできればそのまま模様として飾ると言う案です。材料が木になった為、模様の取り外しが簡単になりましたが、アクセサリースタンドとしての機能性はいまいちなので改善の余地がまだまだあります。何かをデザインをすると言うのは本当に難しい事だなと改めて実感しました。

 

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イヤリングも新作が出来たので紹介します。大きくてハッキリした色が好きです。

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https://mayuko-yamamoto.squarespace.com

{YAMAMOTO, Mayuko)

2016-06-28 | Posted in blog, ReportNo Comments » 

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