【Fab12レポート】未来を創造する 〜その1〜


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こんにちは、FabLab Shibuyaの井上です。
 
昨年のボストンに続き、年に1度の世界ファブラボ会議の季節がやってきました。
今年はMaker Faire Tokyo 2016への参加と重なり、井上は少し遅れて合流する形になりました。これまで何度かこうした渡航レポートを書いてきましたが、今回体験した諸要素は互いに関係し合うものが多かったため、日別ではなく1本のレポートをいくつかに分けてお送りします。
 


 
今年の世界ファブラボ会議(Fab12)は中国・深センで開催されました。テーマは「Fabricating the Future=未来を創造する」。このテーマにリンクするように、今回のカンファレンスでは「FabLab 2.0」という言葉が盛んに聞かれました。FabLab 2.0を要約すると、既存の工作機械を使うだけでなく、それらをハックしたり、工作機械そのものを自ら制作するアプローチを指します。ものづくりのアプローチを今後どのようにアップデートさせるのか、世界の製造業の中枢とも言える深センで語られるにふさわしいテーマなんじゃないかと思います。
 
製造業に携わっている人から見れば、このFabLab 2.0というテーマは一見するとさして目新しいものとして映らないかもしれません。「治具」に代表されるように、目的に合わせて工作機械の挙動を替えたり、特定の目的に特化した工作機械を作ることは、既存の製造業では日常的に行われていることです。とはいえ、ここで語られているハックや新しい工作機械は、オープンソースとして次のユーザーも想定して作られている点において、既存の製造業のものとは異なるアプローチが含まれています。代表的な例として、Nadya Peekが中心となって進めているMachines that makeなどが紹介されました。

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制作環境そのものの制作というFabLab 2.0のコンセプトですが、その基幹はむしろその後に続く3.0、4.0への繋がりを念頭に考察した時に真意が見えてくると感じました。4日目のFab Symposium冒頭のNeil Gershenfeldによる基調講演によれば、FabLab1.0〜4.0は次のように定義されています。
 

  • FabLab 1.0:既存の工作機械を使ったものづくりを行うFabLab
  • FabLab 2.0:工作機械をハックしたり、工作機械そのものから作り、それらを活かすFabLab
  • FabLab 3.0:FabLabによって作られた新しい工作機械によって構成された新しい形のFabLab
  • FabLab 4.0:自己増殖・自己生成する機械や素材によるものづくりを行うFabLab

 
重要なのは1.0から4.0までが段階的に更新されていくものではなく、2.0以降のレイヤーはそれぞれ同時進行的に進めていくものであるということです。この取り組みは既存の工作機械をラボから淘汰していくということではなく、またおそらくは各FabLabのレベルを表すものとも異なります。各レイヤーに掲げられた目標に向けて、それぞれのラボがそれぞれのアプローチで達成を目指す「共同指針」のイメージで語られているように感じました。これらの数字はFabLabのレベルというよりは、目標の達成難易度として見た方がわかりやすいかもしれません。
 
こうした背景で、特に最後の「FabLab 4.0」を最高到達点として見たときに、現在FabLabがバイオに力を入れている理由や、今回のカンファレンスで発表されたFab Academyの新しいカリキュラム、FabCity構想にも繋がってくることが見えてきます。要約すると今回のカンファレンスを通じて、FabLabは今後よりプラクティカルな形で「循環型社会の構築」を目指す、という宣言をしたと言えるでしょう。

<続く>

文・井上恵介

2016-08-16 | Posted in blog, Events, ReportNo Comments » 

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