【Report】Tokyo Design Week 2016

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先日開催されたTokyo Design Week 2016(以下TDW)にて、オートデスクさんの出展ブース内にできたワークショップスペースの運営をお手伝いしました。FabLab Shibuyaが開発した6つのワークショッププログラムは、すべてオートデスク製品を通じて制作されています。連日多くの参加者で賑わい、11日間の開催で1,297人もの方々がものづくりを楽しまれました。

ちょうど昨年のこの時期に開催されたAutodesk Gallery Popup Tokyo以来ですが、特にユーザーの拡大が目覚ましいAutodesk Fusion360にフォーカスしたプログラムを多く取り入れ、FabLabShibuyaとしても大きなチャレンジになりました。TDWには学生さんも含め、デザイン・アートに造詣が深い方も多くいらっしゃいますが、ほとんどの方にとって「初3DCAD」「初モデリング」という中で、慣れない手つきでFusion360を操作しながらものづくりにチャレンジされていました。

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3Dモデリングは、モデリングした後のアウトプット先がこれまで無かったという意味で、趣味や慣習とは縁遠い作業でした。ここ数年で3DプリンターやCNC切削機が身近になり、Fusion360も明らかにその動勢を意識した設計ツールになっています。モデリングからアウトプットまでの一般レベルの環境が少しずつ整ってきている中で、そこに関わる人を増やすというのがソフト・ハードウェアメーカー、メイカースペース運営者に共通した目標になっています。ワークショップは概ね体験そのものが参加者の糧になるものとして設計されていますが、今回のワークショップでは「体験したことを続けてもらう」ことを意識して設計しました。

ワークショップの中にはFusion360のCAM機能を使ったものなど、初心者には難易度の高いものも含まれていました。参加者の中には途中で頭を抱えながらも、苦労して作ったデータが手に取れる形を持った時には一様に大喜びしていました。ものづくりに限ったことではないですが、本当に楽しいことというのは、「それなりにしんどい」というプロセスが不可欠なのかもしれません。

 

文・井上

 

Column -ものづくりと安全-
多くの方がご存知の通り、Tokyo Design Week 2016は11月6日(日曜日、開催11日目)に起こった痛ましい事故によってその幕を閉じました。事故の内容については既に多くの報道機関で取り上げられている通りですが、同じイベントに関わり、あの時・あの瞬間の現場の空気を知っている者として、ほんの少し記述します。

ものづくりに携わる者として、事故の詳細を知った時は、もしかしたら自分が加害者になりえたかもしれないと大変背筋の凍る思いでした。作り手の知識・技量・経験、そして何より「リスクに対する意識」が安全性を高めるのは間違いありません。また、そうした事故を起こさないための各種取り決めやルールがあります。これは今回のようなイベントに限らず、日常業務や日常生活の中でも言えることです。残念ながらどんなに高い技術や強い規制をもってしても、事故のリスクをゼロにすることはできません。リスクマネジメントとは、想定されるリスクが現実のものとなった時にどう対処するか、被害を最小に抑えるためにどのような準備を講じておくかということです。

メイカームーブメントも(そしてFabLabも)国内で聞かれるようになってせいぜい数年という中で、まだまだ学ぶべきことや課題が多々あります。作るための知識や技術だけでなくリスクマネジメントという観点でも、まだまだ至らない点があると思います。異なる分野で培われた知識や技術をもったユーザーが集まるFabLabだからこそ、今回の事故を一つの教訓として、そうした知見が今後一層シェアされるようになることを願います。

2016-11-18 | Posted in blog, Events, ReportNo Comments » 

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