【Day4】Timor-Leste珍道中
こんにちは、FabLabShibuyaの井上です。TEDxDili本番を終えて気持ちもリラックスしたところで、今日は1日東ティモールを見て回ります。
昨夜10時頃に滝のようなスコールを体験するも、今日も快晴。ホテル下のカフェでMarfimさんと合流し、海岸沿いを東へ。
今回の渡航でようやく海を真近に見ました。
めざすは、Marfimさん曰く「東ティモールのブラジル」
なにそれ?
ここティモール島は、その昔ワニの背中からできたという神話が残っているそうで、ワニは人類の先祖でもあると捉えられているそうです。そんな神格化されたワニが稀に海にも現れるそうで、時折襲われる人もいるのだとか。そういった場合でも駆除みたいな動きにはならず、むしろ襲われた方の
「悪い行い」に対する罰として捉えられたり。
ワニ強い。
あいにくワニは見ませんでしたが、貨物船はよく見ました。少し沖に出ればイルカやクジラも頻繁に見れるのだとか。
なるほど、確かにブラジル。
東ティモールの人口のうちほとんどはクリスチャンだそうで、日曜日の今日、道中通り過ぎた教会には多くの人がいました。
日曜日なので、家族で海水浴を楽しんでたりする。
お土産の物色も兼ねて街を散策。上はTais Marketの風景。Taisとは現地でよく見かける織物のことで、色鮮やかなタペストリーが店先にかけられています。
「東ティモールのアキハバラ」ということで連れられた街の一角。コンクリートブロック用の型に財布の紐が緩みかけましたが、さすがに重いしデカいので断念。
次に立ち寄った店はもっと秋葉原らしいお店で、電気パーツがごっそり。東ティモールに住んだら毎日通いそう。
やたらデカいモーターやウーファー。
気になる….
ひとしきり土産も買ったので、お次はMarfimさんのご自宅へ。
ふたりの可愛いお子さんと奥様がお出迎え。成田空港で買ったMUJIのマーカーセットを渡したら、小学1年生のお姉さんは早速明日から学校に持っていくのか、嬉しそうに鞄に入れていました。
弟くんがiPadを持って隣に座り、動画を見始めたので「何見てるの〜?」と覗いてみたらTEDじゃないすか!しかもなぜ日本語字幕!?
3歳って言ってたよな!?
君は天才か。
玄関先で寝ていた犬。1歳半で、「もしかしたら妊娠してるかも」とのこと。
さっきの弟くんが操るラジコンが犬のケツに事故ってはビクッとなり、気だるそうに部屋を出ていくこと3回。Marfimさんと「東ティモールで持続可能なFabLabのあり方とは」だの、「東ティモールで有効な3Dプリンターの使い方とは」といった真面目な話の横で繰り広げられる光景に、1人で勝手に「笑ってはいけないMarfim家」状態に。
やっぱ君は天才だよ
ご家族とお別れして、お昼を食べにMarfimさんとインドネシア料理屋へ。
2年半前のFab9でお会いした時から、Marfimさんはどうやって故郷の東ティモールにFabLabを設置するか考えてこられました。Marfimさんは大学で教鞭をとっておられますが、あくまで大学外にFabLabを設置し、民間経済の活性化を軸に持続性の高いFabLabにすることを何よりも重要視しています。たった数日の滞在ですが、ここで目にした風景を通じて、よりリアルにその姿をディスカッションできたような気がします。
Marfimさんのイメージでは、東ティモールに設立するFabLabの重要なコンテンツの1つとして、スクーリングを考えているそうです。3Dモデリングやデザインといったスキルを学べる私塾としてFabLabの機能を活かす。幸い日本と東ティモールは時差がないので、遠隔でのサポートもしやすい関係です。
こんな質問をしてみました。
Q : 例えば、東ティモールには「プロダクトデザイナー」っていう職業はあるの?(井上)
A : いや、ないね(Marfimさん)
数日とはいえ現地の人々や街の雰囲気を見てきたので、この答えはおおよそ予想していました。これはつまり、受講生がスクーリングを受けた結果「どのような職に就くのか」を具体的にするにあたって、日本とは全く異なるアプローチが必要になるということです。プロダクトデザイナーはあくまで例えですが、少なくとも市場がなければ肩書きは意味を持ちません。意味のない、遠い世界の肩書きを振りかざしても、ここの人は可能性を感じてくれないでしょう。現地の人がデジタルファブリケーションからどんな可能性を見出し、どのようなプロセスで自分の生活を豊かにできそうかを予めこちらが予想しておく必要があります。
東ティモールに近づいたと感じたと同時に、まだまだ遠いなとも感じたMarfimさんとのディスカッションでした。
Marfimさんと別れ、夜はTEDxスタッフや他のプレゼンターと夕食を共にしました。
どうやら初めて見た3Dプリンターが相当驚きを与えたようで、「今朝も話してたんだけど….」と言いながらあれこれ質問してきてきます。「医療について」「中国企業が始めた家を建てるサービスについて」「NASAが月面に作ろうとしている基地について」などなど、3Dプリンターにまつわる話をすると決まって
「はぁぁぁ?マジでぇぇぇ?」
と、若干引いてないかってくらいの反応が返ってくる。そうか、それくらい離れてるんだなぁと感じます。活動領域が違うので、まぁ、そんなもんか、とも思いますが。
こちらの話だけではなく、それぞれのプレゼンターさんの話にもなります。昨日は難民の人権についてプレゼンをされたKon Karapanagiotidisさんとも、日本と難民の問題について話をしました。彼のプレゼンによれば、難民とは紛争によって住む場所を追われた人々という意味だけでなく、家庭内暴力などで居場所を追われた人も、広義の意味で「難民」と言えます。そこで日本の自殺者の多さについて話したり、その原因(およそ予想のつく範囲で)などを共有させてもらいました。
そんなこんなで思うところが多々ありながら、東ティモールの最後の夜が更けていきました。
(井上)